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いつもの庭で01(仮題) [アトラ系プラリア]

昨日は半年前から準備していた夢の国旅が霧散したので家族でドンジャラ大会開いたりまったりすごしてました。
PBW関連のお知り合いは台風直撃地域の方も多い印象なのですが、みなさまご無事でしょうか??まだ豪雨からの二次災害心配もあるでしょうし、どうぞご安全に!!
我が家は本当に台風の影響を受けにくい地域で、昨日も暴風域に入ってる時間でさえ普通の雨の日だね~って感じで余裕で窓開けて過ごせてて、このへんだけ異次元にのまれてるのでは?くらい日常でした。
念のために備えはしっかりしておいたので、後回しにしてたベランダ掃除や備蓄品チェックができたことはよかったかな~。
そんな感じの地元で生まれ育ってしまったので、予定どおりに舞浜入りしてたらチビってたかもしれないな…とニュース映像を見て震えています。

そいでまぁ、連休の予定がなくなって暇すぎたので、タイトルが思い付かないまま保留してたプラリアを推敲してみました。仮題つけて公開しておくよ~。

メリッサ17歳、タウラス13歳、洪水の10年前のお話。
*****【いつもの庭で01】*****

 その日、いつも通りに魔法学校から帰宅したメリッサは庭に知らない顔を見つけた。庭といってもメリッサの家の持ち物ではない。ここは貴族の領有する土地で、メリッサの家は代々敷地の片隅に住みながら庭を整える役目を担っている。脈々と続く役割はいまや揺るぎないものになっており、この家も父から弟へと引き継がれていくはずだ。メリッサにはそれは少し癪なことだった。
「ただいまー」
「おかえり」
 勝手口の扉を開くと母が飲み物を冷やしているところだった。休憩に持っていくつもりなのだろう。出窓から見える父の剪定作業はそろそろ一段落つきそうな気配だ。
 傍らで父を見上げているのは穏やかな顔つきの少年で、メリッサよりも幾分幼そうに見える。弟の友人か、庭師志願なのか……それにしては小綺麗な服を着ている。
「坊っちゃんの友達?」
「あんたの婚約者」
「えっ!?」
 驚くメリッサにからからと笑いながら母は続ける。
「昔、お屋敷にいたルワールさん覚えてない? 坊っちゃんの乳母してた。あんたそりゃあなついててさ……」
 一時だけ子連れの女性がいた記憶はかすかに残っていた。そのアリエス・ルワールが役目を終えて暇をとるにあたり、メリッサは泣いて泣いて『お嫁さんになったらついていける?』と言ったらしい。口約束にも満たないエピソードを婚約と揶揄しているだけで、本当に約束を交わしたわけではないようだった。
「覚えてない?」
「女の人に遊んでもらってたのはなんか覚えてる」
「だから、息子のタウちゃんよ、あの子が」
 そういわれても、ふぅんと頷くことしかできなかった。
「秋になったら坊っちゃんと一緒に学校に入るらしいよ」
「寄宿学校だっけ?」
 いつだったか食卓で、家令のベイリーが従者を探していると話題に登っていたのを思い出す。
「坊っちゃんとずっと一緒ってなんか大変そう」
「そう? 多少気難しいところもあるようだけど、悪い子じゃないと思うけどね。ご聡明だっていうし、継いでくださればお家は安泰だろうって噂だよ」
 件の坊っちゃんとメリッサとの接点は薄い。貴族の子息と使用人一家の娘。それ以上でもそれ以下でもない。同じ敷地の中に住んでいても世界は重ならず、どこか遠くにある存在だった。たまに庭で見かけても一瞥される程度だったし、翡翠色の目は時折とても冷たくて、なんだか難しそうな子というのがメリッサが抱く印象だった。
「男は坊っちゃん一人なんだし、普通に継ぐだけじゃないの?」
「ここのお屋敷もいろいろあるみたいだからね……」
 母はそう言葉を濁したが、メリッサは眉をひそめた。大切な友人の顔が思い浮かんだせいだ。
「それ、セラちゃんのことも関係ある?」
「セラお嬢さんって言いな」
 今度は母のほうが眉をひそめる。
「いい加減、気安く呼ぶのやめな」
 納得はしていないが「はいはい」とだけ返した。変わらず気安い存在でいることを望んだのはセラフィーナのほうだ。そう説明したところで大人は良い顔をすることはない。
「あの子も屋敷に住み込むの?」
「ベイリーさん預かりになってるようだから、住み込むなら高台のほうかしらね。今のところ通いになってるみたいよ」
 高台とは”お嬢さん”の居る屋敷だ。セラフィーナもまた貴族令嬢として手習いを受けている身で、ベイリーはその為にこの屋敷を離れて高台の別邸に詰めている。
「ふぅん」
 気のない相づちで隠しながら、メリッサは別のことを考えていた。彼からセラフィーナの様子が聞けるだろうか……。
 庭に出ようか迷ううちに少年に歩み寄るベイリーの姿がみえた。父も交えて二言三言のやりとりの後、少年は丁寧に頭を下げてからベイリーの後ろを追って行った。
「あら、居なくなっちゃったのね。じゃあこれあんたが飲みな。もう一個はお父さんに持っていって」
 母からグラスを二つ押し付けられメリッサは渋い顔になる。
「え、やだ……」
「ついでに進路の話もしておいで。モタモタしてると卒業まであっという間なんだから。あんたの場合は卒業できるかも問題かもしれないけどね」
「別に成績悪くないし」
「実技はね。座学は?」
「……」
 勝手口の扉を開けた母は、黙りこむメリッサの背を急かすように押し出す。
「ほーら、話だけは通しときな! 上の学校目指そうが家を手伝おうが反対しないと思うから。嫁ぎ先の目星があるならそれでもいいんだよ? あの人は泣くかもしれないけどね」
「そーゆーこと言うから嫌なんだってば」
「おや? 目星い相手がいるのかい?」
「いまはいなーい」
 面倒くさそうに答えながら、メリッサは行儀悪く後ろ足で扉を閉めた。
 男に生まれたら進路に悩むことはなかったのかもしれない。好きなことを仕事にして家を支えれば、立派だの安泰だの周りも喜んでくれたはずだから。メリッサは家の手伝いはできてもこの先一生そのままともいかないはずだ。女というだけで違う期待を持たれる。女というだけで型にはまらないことに落胆される。学生のうちはかわすことのできたその手のプレッシャーも、卒業したらより重く感じるのだろう。
(ずっと留年し続けたらいろいろ先延ばしにできそう……)
 できもしないことを考えながらノロノロと庭へと向かった。

 それからタウラスは決まった曜日になると庭にやってくるようになっていた。ほとんどの時間を別邸での手習いに費やし、週の終わりにだけこの屋敷に訪れているらしい。
 特に話しかけることもなく過ごし、彼を見かければもう一週間たったのかと思う程度で時間が過ぎていた。
 ある週それが不意に途切れ、ほどなくして両親の喪服がクローゼットの表に掛けられていた。メリッサと弟の分がないところを見るに親(ちか)い人ではないようだ。
「誰か亡くなったの?」
「ルワールさんよ。暫く前から体を壊してたらしくてさ。タウちゃんのことが随分急に決まったのもそのせいだったんだね」
 涙ぐむ母を前にメリッサはこんなときどう返すのが正しいのだろうとぼんやり考えていた。身近な人の死にメリッサはまだ触れたことがなかった。

***** To be continued…

続きは歯抜け状態で気が向いたときに書き足しているので公開時期は未定です。
次からは二人の会話も発生するよ!当初は初回から会話する予定が、書いてみたらメリッサがあんまり興味示さなかったんだよね…。
プラリアは基本的に未来の自分がリア読み返したくなったときに一緒に読んで『圧倒的解釈の一致!』って喜ぶために書いているので、これもそんな感じで書いてます。
頭の中にある洪水前の設定を補強しつつ、PCの関係性を書き残しておきたいなぁ…という。頭の中のものを形にしないとどんどん忘れていくお年頃になってきてるからね~。
で、忘れきった頃に読むと解釈通りの物語を新鮮に喜べるから、みなさんもプラリア書くといいよ。
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