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日常茶飯事【源元SS】 [PBWのSS]

旧ホムペサービス終了に伴うお引越しSSシリーズ、これでラスト!

ロスオルに転生する前の伍長こと源元のSSです。転生時に年齢と階級ちょっとあげたので、この当時は伍長ではありませんw
末尾のメモに「PLさんに添削を~」って書いてるけど、笹倉さんNPCなんだよな本当は…。この当時は歴戦のPLでありサイト運営するGMでもある方々と交流があったので、いつも楽しいサイトに誘っていただけてありがたかったです。秋津さんのPLさんもオンラインセッションの場を作ってくださったりとか、お世話になりっぱなしでした。私はGMとして場を提供できないまま過ごしててすまなかった!と未だに思っています。スマナカッタ!

*****【日常茶飯事】*****

「源ォ! お前、また便所紙くすねただろ!?」
 ラバーカップ─いわゆるひとつのトイレのスッポン─を片手に仁王立ちする同僚を前に、源元はキョトンと首を傾げた。
「あれ? 秋津さん、今日便所当番でした?」
「あぁ、昨日、ちょっと負けが込んだんだよ、コレで」
 チンチロリーンとサイコロを振る仕草をしてみせる秋津。眉間のしわはますます深まっている。
「そんなことより、くすねたんだろ? 正直に吐きゃがれ!」
「やだなぁ、人聞きの悪いこと言わないでください。くすねたんじゃありません、取り分なんです」
「トリブンだァ?」
 いいですか、と前置きをした元は、愛用の裏紙を束ねたメモ用紙に、なにやら小難しそうな計算式を書きはじめた。
「みなさん紙を使うの場合は大体一度に30~50センチは使われると思うんですけど、ぼくはそれを1回25センチまでと決めて節約しているんです。備品は65メートルにプラス3メートルのお徳用、1回につき40センチとしても約170回分。紙をつかうのは一人1日に1ないし2回として…4人部屋ですから、えぇと6回くらいとして…誤差はこの程度かな…えっくすいこーる…こうなって、代入して…」
 ぶつぶつと計算を続ける元を、秋津は仏頂面で見やっている。
 それでも一旦は最後まで聞き役にまわってしまう律儀さが、彼のいいところであり、甘いところだ。
「できた! 計算によると3週間経過した次点での残りの紙は僕が節約したぶんなんですよ? 自分がキリツメて捻出した取り分は有効活用してもいいじゃないですか」
「だぁら、いつから30センチとか50センチとか決まったんだよ! その式も無駄に難しく書いてるだけで根拠ねぇだろァ、あぁ?」
 きらきらとした笑みを浮かべる元に、迫力のない女顔ですごんでみせる秋津。
 その背後から、突如、食べかけのべっこう飴が伸びてきた。
「まぁまぁ、秋津くん。飴でもたべて落ち着きなさいよ、秋津くん。疲れているときと月ノモノのときは甘いものが欲しくなるって言うじゃないか、秋津くん」
「笹倉! テメェ、どっから沸いたァ!」
 ズザァっと後ずさる秋津を横目に、笹倉は「おひとつぞうぞ」と元にも飴をさしだす。
「アレだよ、源くん。思うに秋津くんは一人淋しく篭ってイケナイことをするのに、虚しさを拭い取るのは40センチじゃたりないと、イカ…じゃない、青臭い主張をしたいんだとだと思うなぁ、おじさんは」
「はぁ、そうなんですか…あ、いただきます」
「ひっこめこのイロボケ!」
 シッポをふりふり飴をうけとった元は、しかしそれをじっと見つめるだけで口をつける様子がない。
 それに気付いた笹倉が、意外なほど人好きのする笑みを浮かべて、ペロリと自分の飴をなめてみせる。
「毒も薬ももってないよ。仮にもおじさんは衛生班の人なわけで、仕事を増やすような真似はいくらなんでも致しかねるわけで、第一キめさせて楽しむのなら、秋津君でことたりているからね」
「まて、コラ」
 反論しかけた秋津を押しのけるようにして、ズズイと前にでてくる元。
「いえ、これも弟妹達に送ってやろうかとおもったので…」
 なにやら、はかなげな笑みを浮かべ、そっと飴を胸に押し抱いたりしている。
「みんなで仲良くわけて食べるように、手紙にかいておきます」
「…イ、イイ話だ、実にイイ話だ…!」
 いそいそと新しい飴を取り出そうとしている笹倉を、秋津が爽やかな笑みで制する。
「まてまて、おっさん、一瞬イイ話にきこえる気がするがなぁ、それは源家の氷山の一角どころか一欠片な部分であって、コイツらのえげつなさといったらハンパじゃねぇぞ? 骨の隋まで吸い尽くされる覚悟はあるのか、あぁ?」
「やだなぁ秋津さん、黒いのは僕だけですよ、弟妹はまだまだそこまでは…ほら、普通にかわいいでしょう?」
 はかなげな笑みはどこへやら、ケロリとした表情の元が、胸ポケットから取り出した写真には、ほぼ同じような顔つきが7つ、大小とりどりに並んでいた。
 ひょっこりと元の手元の覗き込んだ笹倉は値踏みでもするように目を細める。
「ということは、先日仕送りしたという備品も彼女たちが使ったんだね? この飴や、件の便所紙もいずれは…」
「はい。笹倉さんにいただいた例のアレや大きな声では言いがたいアレも重宝しているみたいです」
「あからさまに不穏な物言いだな、おい…」
「秋津くんも乙女の柔肌をつつみこむ純白の布や、月に一度の秘密を吸収する脱脂綿がご入用なら、いくらでも調達してあげ……」
──ぺきゅっ!
 笹倉の顔の脇をかすめ、ラバーカップがダーツの矢のごとく、壁にはりついている。
「次は顔面に行くからな」
「疲れているときと月ノモノのときはとかくイライラしがちなのは致し方ないことだよ。ここはひとつ甘いものでも食べて…」
「じゃかぁしぃ!」
「秋津さんが要らないのなら、その飴もぼくが…」
今日も今日とてセジ島の夜は緊張感なく暮れていくのであった。

*****
笹倉さんの喋りに自信がなかったのでPLサマに添削をオネガイしました。
おかげさまで最初よりもまとまりがよくなりましたよぅ、アリガトウデス!
というかトイレットペーパーの使いっぷりって個人差が相当でると思うので
緻密に計算したところで微妙な気がするのですが、あえて目をつぶるのよ。
ちなみに説明をおもいきり書きそびれてますが、軍隊でのお話です。
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