一緒になりたい [アトラ系プラリア]
フランス語お手紙ネタが書きあがりました。
書き出したら早かった。
タウ母書きやすいかもしれぬ!
というか、私が母になったからかもしれぬ!
幼少期ネタは思いついたらもっと書いてみたいなぁ。
タウ以外のPCでも今の方が楽に書けそう。
タウ母は牡羊座でアリエスという名前です。
なので牡牛座の息子はタウラスになりました。
ちなみに女児ならエウロパになったらしい(父の手紙より)
そして父の名前は考えていない。てへ。
後半は軽めに母困っただろうな~(笑)で終わる予定でした。
でも糖度を高めました。
勇気をだしてマスターにご連絡したところ、
昔投げかけた質問の答えを転送していただけまして、
私が手元に残せてなかったレイニさんの心境とか、いろいろ。
で、結ばれてもまだどこかすれ違い気味だなと感じたので、
レイニさんに向けたラブを現したくなってみたから。
(寝てるから伝わってないとか言わないでおくれ)
ところでこの話、ほのぼの…なのかしら?
*****【一緒になりたい】*****
夫は沢山の手紙を遺した。
専用の引き出しに一杯に納めたそれらから、息子は毎晩一通選んで持ってくる。
眠る前にその手紙を読んで聞かせるのがルワール家の日課だった。
はじめのうち封筒の色目や、珍しい柄の消印で選ばれていたそれは、近頃少し変わってきていて、末尾に添えられる異国の言葉にいたく興味がでてきているようだ。
丁寧に便箋を開いては首をかしげて封筒にもどしたりと、長く時間をかけて選ばれることが増えてきた。
異国といってもアリエスと夫にとっては祖国で、添えられるのは祖国でもあまり使われなくなった古い言葉達だ。
その結びかたが夫なりの拘りらしく、初めて貰った手紙から最期まで、いつも何かしらの一言があった。
たぶん祖国の土を踏むことなく生きていくだろう息子も、ルーツを知っておくのは良いことだと思う。
だからアリエスは夫の拘りに感謝していた。
「お母さん、知らないのが書いてあるの見つけた」
「どれ?」
「これ。いつもと違うよね?」
差し出された手紙の末尾には『Je te veux.』と添えられている。
「えーと…ジュ・トゥ・ヴ…!?」
それは結婚前にもらったものだ。
奥手な夫にしてはかなり熱烈に恋情を綴った一通で、本人も頑張りすぎた自覚があったのか、後にも先にも『Je te veux.』が使われたのはこれ以外にはない。
ほかの手紙と別けるのも変かと引出しの底にしまったのだが、すっかり油断していた。
「どんな意味?」
「ええと…」
言い淀む。
言ったところで息子の歳では本来の意味など解らないのだろうけれど『あなたが欲しい』とは答えがたい。
「どんな?」
答えを待つ好奇心に満ちた純粋な目。
ごまかしすぎるのも直球すぎるのもよくない気がした。
アリエスは思考を必死に巡らせて、落としどころを模索する。
「…うーん…ひとつ…じゃなくて…あ! 一緒になりたい、かな?」
「いっしょ? なかよし?」
まだ語彙の少ない息子の問いかけは、却って的を射ている気がして焦る。
だって、たしかに、仲良くなるための言葉なのだろうから。
「そうね、仲良くなりたいときに使うかもしれない」
「じゃあ、結婚するときに言う?」
「うーん…それもあるかもしれない」
ふぅんと、なんとなく嬉しそうな顔で頷いて、息子はじっと手紙の文字を見つめた。
その目は知らなかった知識を吸収した喜びに満ちている。
「ジュ・トゥ・ヴー。ジュ・トゥ・ヴー…当ってる?」
発音の練習を始める姿に目眩がしてきた。
あの破廉恥野郎め! 生きていたら渾身のボディブローをお見舞いしてやるところなのに!
貰った当時は蜜月で、悶えながらも相当に嬉しかったのだけれど、いまはそうも言っていられない。
握り拳を枕にめり込ませ、アリエスはひきつる口許を必死におさめる。
「あのねタウ、それはとっても大事な言葉だから、あまり言わないようにしようか」
「う、ん?」
不思議そうな表情で見上げられる。頷きながらも納得はしていない様子だ。
故郷の古語がこの国にそれほど浸透しているわけでもないだろう。それでも知っている人が聞けば容易に解る。不用意に口にさせるべきではない。
「結婚したいくらい好きな人にだけ言う言葉なの。とってもとっても大事だから、簡単に言ってはだめだからね」
「うん…」
「わかった人!」
「はいっ!」
ほとんど反射的に挙手する息子の髪を撫でて、アリエスは手紙を封筒に納める。
「このお手紙はしまって、違うのを選んできて」
「なんで?」
「ちょっと難しいことがたくさん書いてあるお手紙だから、もう少し大きくなってから読もうね」
もう一度髪を撫でると、息子は素直にはぁいと返事をして、引き出しへと踵を返した。
*****
懐かしい夢を見た。
あれはいつ頃だっただろう…3歳か4歳かそのあたりか…。
あの手紙だけは持っていってもいつでも「まだ難しいかなー」と躱された。
少し成長してから一人でも字が読めるようになって、あれは両親が交際を始めて日の浅い頃のものだとわかった。
仕事で街を離れていた父は、戻ったらすぐに会いたいと繰り返し書いていて、ほかの手紙にはわりに細かく触れられていた渡航先の様子は冒頭に一行あるだけの、完全なるラブレターだった。
幼心にも勝手に触れては無粋だと思えて、引出しの底にしまい直した、そっと。
その後『Je te veux.』の本来の意味を知り、幼い自分が母を大いに困らせたのだと気が付いた。
困らせてごめんなさいと言いたかったけれど、それをしたら母をもっと困らせることは分っていたから、引出しの奥底に忘れたふりをして過ごした。
そのかわり、棺に手紙を納めた時、あの一通だけは母の手元に添えた。
それにしても『一緒になりたい』とは秀逸な答えだ。
隣に眠る大切なひとを引き寄せる。
少し迷惑そうに身じろぐ様子に微笑んで、茶色の柔かな髪に鼻先を埋めて、抱き込んだ。
「Je te veux.」
あなたが欲しい。
一緒になりたい。
身も心もひとつに融け合うくらいに。
『結婚したいくらい好きな人にだけ言う言葉なの。とってもとっても大事だから、簡単に言ってはだめだからね』
母の言葉が甦る。
安心して。
使いどころは違えていないから。
この言葉を伝えたのは、貴女にだけだから。
「レイニ…」
額に口付けて、目を閉じる。
素肌の温もりを感じて幸せに浸りながら。
*****
最終的に寝技に持ち込んでた描写ですねエロ従者め(棒読み)
ちゃんと二度寝するように。
二回戦臨界態勢にならないよう気を引き締めなさいよ。
レイニさんは気づいてても寝たふりで危険を乗りきってください☆
書き出したら早かった。
タウ母書きやすいかもしれぬ!
というか、私が母になったからかもしれぬ!
幼少期ネタは思いついたらもっと書いてみたいなぁ。
タウ以外のPCでも今の方が楽に書けそう。
タウ母は牡羊座でアリエスという名前です。
なので牡牛座の息子はタウラスになりました。
ちなみに女児ならエウロパになったらしい(父の手紙より)
そして父の名前は考えていない。てへ。
後半は軽めに母困っただろうな~(笑)で終わる予定でした。
でも糖度を高めました。
勇気をだしてマスターにご連絡したところ、
昔投げかけた質問の答えを転送していただけまして、
私が手元に残せてなかったレイニさんの心境とか、いろいろ。
で、結ばれてもまだどこかすれ違い気味だなと感じたので、
レイニさんに向けたラブを現したくなってみたから。
(寝てるから伝わってないとか言わないでおくれ)
ところでこの話、ほのぼの…なのかしら?
*****【一緒になりたい】*****
夫は沢山の手紙を遺した。
専用の引き出しに一杯に納めたそれらから、息子は毎晩一通選んで持ってくる。
眠る前にその手紙を読んで聞かせるのがルワール家の日課だった。
はじめのうち封筒の色目や、珍しい柄の消印で選ばれていたそれは、近頃少し変わってきていて、末尾に添えられる異国の言葉にいたく興味がでてきているようだ。
丁寧に便箋を開いては首をかしげて封筒にもどしたりと、長く時間をかけて選ばれることが増えてきた。
異国といってもアリエスと夫にとっては祖国で、添えられるのは祖国でもあまり使われなくなった古い言葉達だ。
その結びかたが夫なりの拘りらしく、初めて貰った手紙から最期まで、いつも何かしらの一言があった。
たぶん祖国の土を踏むことなく生きていくだろう息子も、ルーツを知っておくのは良いことだと思う。
だからアリエスは夫の拘りに感謝していた。
「お母さん、知らないのが書いてあるの見つけた」
「どれ?」
「これ。いつもと違うよね?」
差し出された手紙の末尾には『Je te veux.』と添えられている。
「えーと…ジュ・トゥ・ヴ…!?」
それは結婚前にもらったものだ。
奥手な夫にしてはかなり熱烈に恋情を綴った一通で、本人も頑張りすぎた自覚があったのか、後にも先にも『Je te veux.』が使われたのはこれ以外にはない。
ほかの手紙と別けるのも変かと引出しの底にしまったのだが、すっかり油断していた。
「どんな意味?」
「ええと…」
言い淀む。
言ったところで息子の歳では本来の意味など解らないのだろうけれど『あなたが欲しい』とは答えがたい。
「どんな?」
答えを待つ好奇心に満ちた純粋な目。
ごまかしすぎるのも直球すぎるのもよくない気がした。
アリエスは思考を必死に巡らせて、落としどころを模索する。
「…うーん…ひとつ…じゃなくて…あ! 一緒になりたい、かな?」
「いっしょ? なかよし?」
まだ語彙の少ない息子の問いかけは、却って的を射ている気がして焦る。
だって、たしかに、仲良くなるための言葉なのだろうから。
「そうね、仲良くなりたいときに使うかもしれない」
「じゃあ、結婚するときに言う?」
「うーん…それもあるかもしれない」
ふぅんと、なんとなく嬉しそうな顔で頷いて、息子はじっと手紙の文字を見つめた。
その目は知らなかった知識を吸収した喜びに満ちている。
「ジュ・トゥ・ヴー。ジュ・トゥ・ヴー…当ってる?」
発音の練習を始める姿に目眩がしてきた。
あの破廉恥野郎め! 生きていたら渾身のボディブローをお見舞いしてやるところなのに!
貰った当時は蜜月で、悶えながらも相当に嬉しかったのだけれど、いまはそうも言っていられない。
握り拳を枕にめり込ませ、アリエスはひきつる口許を必死におさめる。
「あのねタウ、それはとっても大事な言葉だから、あまり言わないようにしようか」
「う、ん?」
不思議そうな表情で見上げられる。頷きながらも納得はしていない様子だ。
故郷の古語がこの国にそれほど浸透しているわけでもないだろう。それでも知っている人が聞けば容易に解る。不用意に口にさせるべきではない。
「結婚したいくらい好きな人にだけ言う言葉なの。とってもとっても大事だから、簡単に言ってはだめだからね」
「うん…」
「わかった人!」
「はいっ!」
ほとんど反射的に挙手する息子の髪を撫でて、アリエスは手紙を封筒に納める。
「このお手紙はしまって、違うのを選んできて」
「なんで?」
「ちょっと難しいことがたくさん書いてあるお手紙だから、もう少し大きくなってから読もうね」
もう一度髪を撫でると、息子は素直にはぁいと返事をして、引き出しへと踵を返した。
*****
懐かしい夢を見た。
あれはいつ頃だっただろう…3歳か4歳かそのあたりか…。
あの手紙だけは持っていってもいつでも「まだ難しいかなー」と躱された。
少し成長してから一人でも字が読めるようになって、あれは両親が交際を始めて日の浅い頃のものだとわかった。
仕事で街を離れていた父は、戻ったらすぐに会いたいと繰り返し書いていて、ほかの手紙にはわりに細かく触れられていた渡航先の様子は冒頭に一行あるだけの、完全なるラブレターだった。
幼心にも勝手に触れては無粋だと思えて、引出しの底にしまい直した、そっと。
その後『Je te veux.』の本来の意味を知り、幼い自分が母を大いに困らせたのだと気が付いた。
困らせてごめんなさいと言いたかったけれど、それをしたら母をもっと困らせることは分っていたから、引出しの奥底に忘れたふりをして過ごした。
そのかわり、棺に手紙を納めた時、あの一通だけは母の手元に添えた。
それにしても『一緒になりたい』とは秀逸な答えだ。
隣に眠る大切なひとを引き寄せる。
少し迷惑そうに身じろぐ様子に微笑んで、茶色の柔かな髪に鼻先を埋めて、抱き込んだ。
「Je te veux.」
あなたが欲しい。
一緒になりたい。
身も心もひとつに融け合うくらいに。
『結婚したいくらい好きな人にだけ言う言葉なの。とってもとっても大事だから、簡単に言ってはだめだからね』
母の言葉が甦る。
安心して。
使いどころは違えていないから。
この言葉を伝えたのは、貴女にだけだから。
「レイニ…」
額に口付けて、目を閉じる。
素肌の温もりを感じて幸せに浸りながら。
*****
最終的に寝技に持ち込んでた描写ですねエロ従者め(棒読み)
ちゃんと二度寝するように。
二回戦臨界態勢にならないよう気を引き締めなさいよ。
レイニさんは気づいてても寝たふりで危険を乗りきってください☆
2016-07-08 11:17
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